株式会社木村設備工業が「建設ディレクター」を導入し施工管理の効率化を目指す

建物の空調設備や給排水設備を支える管工事は、生活に欠かせないインフラの一つである。施工管理の仕事は、工程管理や安全管理に加え、写真整理や書類作成など多岐にわたる業務を担う必要があり、建設業界全体の課題となっている。埼玉県を拠点に管工事および施工管理を行う株式会社木村設備工業は、こうした課題に対応するために「建設ディレクター」という役割を導入し、施工管理担当者が本来の業務に集中できる体制づくりを進めている。また、若手社員にはDXやAIの活用を積極的に教育し、ベテラン社員には無理にデジタル化を強要しないなど、それぞれの強みを活かせる職場づくりにも取り組んでいる。今回、同社の代表取締役である半田和義氏に、管工事の仕事や建設ディレクター導入の背景、社員ファーストの会社づくりに対する考えを聞いた。
配管は建物の“血管” 暮らしを支える管工事の仕事とは
株式会社木村設備工業は、埼玉県を拠点に空調設備や衛生設備を中心とした管工事および施工管理を行う企業である。管工事は一般的にあまり馴染みがないが、普段利用しているエアコンや給排水設備などは、建物内部に張り巡らされた配管によって支えられている。夏や冬に快適な室温を保つ空調設備や、蛇口をひねれば水が出る給水設備、使用した水を適切に排出する排水設備なども、管工事がなければ成り立たない。株式会社木村設備工業では、こうした設備工事の施工管理を中心に事業を展開している。施工管理とは、実際に工事を行う職人を取りまとめながら、工事が安全かつ円滑に進むよう管理を行う仕事であり、工程管理や品質管理、安全管理、予算管理など、工事全体を俯瞰しながら進行を支える役割を担っている。半田氏は、配管の仕事について「人の身体でいう血管のような存在」と述べており、建物も配管によって空気や水が運ばれるため、普段は目にする機会が少ないが、建物を利用する人々の快適な暮らしを支えるためには欠かせないインフラであると強調している。

施工管理の仕事は想像以上に忙しい
施工管理は、実際に工事を行う職人とは異なり、工事全体が円滑に進むよう現場を統括する役割を担っている。工事スケジュールの調整や協力会社との打ち合わせ、資材の手配、安全管理、品質管理など、その業務内容は多岐にわたる。また、現場での管理業務だけではなく、工事の進捗状況を記録するための写真撮影や写真整理、行政機関や発注者へ提出する各種書類の作成など、デスクワークも多く発生する。そのため、施工管理は現場に立ちながら事務作業も並行して進めなければならず、建設業界の中でも業務負荷が大きい職種の一つとされている。半田氏によると、従来は施工管理担当者が現場管理から書類作成まで一人で担うケースも珍しくなかったが、近年では建設業界全体で働き方改革が求められるようになり、施工管理に求められる役割も変化しつつある。限られた時間の中で品質や安全性を維持しながら工事を進めるためには、業務を適切に分担し、それぞれが専門性を発揮できる環境づくりが重要になっている。株式会社木村設備工業でも、こうした課題に向き合いながら、施工管理担当者が本来の業務に集中できる体制づくりを進めている。その取り組みの一つが、同社が導入している「建設ディレクター」という役割である。
施工管理を支える「建設ディレクター」という存在
株式会社木村設備工業では、業務の効率化と働きやすい環境づくりの一環として、「建設ディレクター」という役割を導入している。建設ディレクターは、施工管理業務をサポートする職種であり、主な業務として現場写真の整理や各種書類の作成、データ管理などを担当しており、施工管理担当者の事務作業を支える役割を担っている。従来の建設業界では、施工管理担当者が現場の管理業務だけではなく、写真整理や書類作成といった事務作業まで一人で対応するケースも少なくなかったが、工事現場の管理とデスクワークを同時に行うことは負担が大きく、長時間労働の要因の一つになることもあった。そこで同社では、施工管理と事務業務を分担する体制を整備している。建設ディレクターが事務作業を担うことで、施工管理担当者は現場での工程管理や品質管理、安全管理といった本来注力すべき業務に集中しやすくなるとされている。半田氏は、こうした役割分担について「時代に合った働き方の一つ」と考えており、人手不足や働き方改革への対応が求められる中で、限られた人材でより良い仕事を行うためには、それぞれが得意分野に集中できる環境づくりが重要であると述べている。また、建設ディレクターの存在は、施工管理担当者の負担軽減だけではなく、働きやすい職場環境の実現にもつながっており、従業員の定着率向上にも寄与しているとされている。株式会社木村設備工業では、施工管理と建設ディレクターがそれぞれの専門性を活かしながら連携することで、より質の高い施工管理体制の構築を目指している。
DXは強要しない。ベテランと若手が共存できる職場へ
近年、建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの活用が進んでいる。業務効率化や人手不足への対応を目的として、施工管理アプリやクラウドサービス、AIツールなどを導入する企業も増えている。一方で、半田氏は「新しい技術を導入すること」と「全員に同じ働き方を求めること」は別であると考えている。ベテラン層のデジタル化への拒否反応はどの会社でも見られる。株式会社木村設備工業では、若手社員に対してはアプリやDXツール、AIなどを活用した業務効率化のノウハウを積極的に教育しているが、ベテラン社員に対してAIやDXを無理に強要することはない。長年現場で培われてきた経験や知識、判断力は、デジタル技術だけでは代替できない価値があるとされている。実際に設備工事の現場では、図面やデータだけでは判断できない場面も少なくなく、現場ごとの状況を読み取りながら最適な判断を行うためには、経験に裏打ちされた知識や発想が必要になることもある。半田氏は、設備工事や施工管理の仕事には、人間だからこそできる考察や気付き、ひらめきが数多く存在すると述べている。したがって同社では、若手のデジタル活用とベテランの経験を対立するものとして捉えるのではなく、それぞれの強みを活かしながら共存できる環境づくりを目指している。半田氏によると、こうした考え方に共感し「自分の経験を活かしながら働ける」と感じて入社を決める人もいるという。株式会社木村設備工業では、時代の変化に対応しつつも、人が持つ経験や技術を大切にすることで、世代を超えて活躍できる職場づくりに取り組んでいる。
年間休日120日でプライベートも充実であり、業績好調につき積極採用中である。若手からチャレンジできる環境が整っており、管理職・幹部候補へのステップアップも可能である。また、社員食堂も完備されており、まかないも好評である。
社員ファーストな会社づくりを目指して
株式会社木村設備工業では、働きやすい職場環境づくりにも力を入れている。現在、同社では20代から60代まで幅広い年代の社員が活躍しており、性別を問わず施工管理業務に従事している。実際に女性社員も施工管理として現場で活躍しており、半田氏は「施工管理は女性の方が向いていると感じることもある」と述べている。その理由として、施工管理の仕事は単に現場を見るだけではなく、工程や人員、資材、予算など多くの要素を整理しながら進める必要があるためである。また、同社では施工管理担当者全員が直行直帰で業務を行っており、業務用車両も支給している。無駄な移動時間を省き、効率的な働き方を実現している。さらに、社員が安心して働ける環境づくりの一環として、社員食堂も運営している。社員食堂では、300円で日替わりメニューを利用でき、ご飯や味噌汁はおかわり自由であり、複数のメニューから好きな定食を選べる仕組みになっている。半田氏は「お腹いっぱいになってほしい」という想いが込められているとされる。こうした取り組みの根底には、社員一人ひとりを大切にしたいという考え方がある。同社では、年齢や経験に関わらず、それぞれの強みを活かして活躍できる組織づくりを重視している。建設ディレクターの導入や世代ごとの働き方への配慮も、こうした社員ファーストの考え方から生まれた取り組みの一つである。半田氏は「会社の成長は社員の成長と働きやすさがあってこそ実現できるもの」と考えており、株式会社木村設備工業では今後も社員が長く活躍できる環境づくりを進めながら、中期計画として掲げる売上100億円、そして埼玉県ナンバーワン企業を目指して挑戦を続けていくとされている。


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